指しゃぶりは、お子さんの成長過程で見られる自然な行動です。しかし、3歳を過ぎても続く場合は、歯並びへの影響を考えて対策を検討する時期かもしれません。ここでは、指しゃぶりが歯並びに与える影響と、無理なくやめさせる方法、そして専門的なサポート方法についてご紹介します。

指しゃぶりはいつまで見守ってよい?理想の卒業時期

指しゃぶりは、赤ちゃんの頃から見られる自然な行動です。赤ちゃんは、指しゃぶりを通じて目で見たものを口に持っていく、口の中で感覚を知るといった発達を促しています。そのため、乳幼児期の指しゃぶりは成長において大切な行動の一つであり、過度に心配する必要はありません。

多くの場合、指しゃぶりは成長とともに自然に減っていきます。1歳半から2歳頃になると少しずつ減り始め、3歳頃までには昼間の目立った指しゃぶりはなくなることが多いと言われています。この時期までの指しゃぶりは、歯並びを含めたお口の健康への影響は少ないとされています。

しかし、3歳を過ぎても頻繁に指しゃぶりが続く場合は、注意が必要です。永久歯が生え始める準備期間でもあるこの時期に指しゃぶりが続くと、歯並びやあごの発達に影響を与える可能性が高まります

理想的には、3歳頃までに自然に卒業できることが望ましいですが、3歳を過ぎても続いている場合は、4歳までにやめられるようサポートしていくことをおすすめします。4歳以降も頻繁に指しゃぶりをしている場合は、歯やあごの発達に影響を与えるリスクが高まるため、積極的な対策が必要になってきます。

4歳以降も続くとどうなる?指しゃぶりが歯並びに与える影響

指しゃぶりが長期間続くと、お子さんの歯並びやあごの発達にさまざまな影響を与える可能性があります。指を吸う力は思いのほか強く、その力が継続的に歯やあごにかかることで、徐々に変形を引き起こすことがあるためです。

出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)

指しゃぶりによって最も起こりやすいのが、上顎前突、いわゆる「出っ歯」です。指をくわえる際に、親指で上あごを前方に押し出すような力がかかります。また、指をくわえる時には下あごを後ろに引くことになるため、上あごと下あごの噛み合わせがずれてしまいます。

その結果、上の前歯が前方に傾斜し、下の歯は内側に押されるような力がかかって内側に傾きやすくなります。正常な歯列は上の歯が下の歯より2〜3mm程度前に出ているのが理想ですが、その割合が大きくなると上顎前突となります。

前歯が噛み合わない(開咬:かいこう)

奥歯を噛んだ時に前歯が噛み合わない状態を「開咬」と言います。指しゃぶりによって、指を挟み込む位置にある上下の前歯が押され続けることで、前歯の間に隙間ができてしまうのです。

開咬になると、前歯でものを噛み切ることが難しくなるだけでなく、発音にも影響が出る場合があります。また、前歯が使えないことで奥歯に負担が集中し、あごの関節に影響を与える可能性もあります。

歯列の幅が狭くなる(歯列狭窄:しれつきょうさく)

指を吸う力によって、上あごの歯列が狭くなる「歯列狭窄」が起こることもあります。指を強く吸引していると、奥歯を外側から内側に押す力がはたらくため、歯並びの横幅が狭くなってしまうのです。

歯列の幅が狭くなると、永久歯が生えてくるスペースが不足し、将来的に歯が重なって生えてくる「叢生(そうせい)」の原因になる可能性があります。

口呼吸への移行

指しゃぶりが続くことで、お口がぽかんと開いた状態が習慣化し、口呼吸になりやすくなります。口呼吸は、お口の中が乾燥しやすくなり虫歯や歯肉炎のリスクを高めるだけでなく、あごの正常な発達を妨げる要因にもなります。

これらの影響は、指しゃぶりの頻度や強さ、期間によって異なります。3歳頃までにやめることができれば、軽度の歯並びの変化は自然に改善する傾向がありますが、4歳以降も頻繁に続くと、明らかな歯並びへの影響が出てくる可能性が高まります。

なぜ子どもは指しゃぶりをするの?原因を知ることが第一歩

指しゃぶりをやめさせるには、まず「なぜ子どもが指しゃぶりをするのか」を理解することが大切です。原因を知ることで、お子さんを無理に叱ることなく、寄り添った対応ができるようになります。

安心感を得るため

指しゃぶりは、お子さんが不安や緊張を感じた時に、自分自身を落ち着かせるための手段として行われることが多いです。赤ちゃんの頃から慣れ親しんだ行動であり、指をしゃぶることで安心感を得ているのです。

保育園や幼稚園への入園、弟や妹の誕生といった環境の変化や、親の関心が他に向いていると感じた時などに、指しゃぶりが増えることがあります。

眠気を感じている時

眠い時やリラックスしている時に、無意識に指しゃぶりをすることも多くあります。特に、寝る前やテレビを見ている時など、ぼんやりしている時に指しゃぶりが見られるのはこのためです。

退屈している時

手持ち無沙汰な時や、することがなくて退屈している時に、習慣的に指しゃぶりをすることもあります。遊びに夢中になっている時は指しゃぶりをしていないのに、手が空くとすぐに指をしゃぶってしまうというケースです。

生活環境のストレス

親の過干渉や放任といった家庭環境の問題や、友達関係のトラブル、生活リズムの乱れなどのストレスが原因で、指しゃぶりが続いたり再発したりすることもあります。

4〜5歳を過ぎても指しゃぶりが続く場合や、一度やめたのに再発した場合は、このような心理的な要因が影響している可能性があります。その場合は、生活環境を見直したり、お子さんとしっかり向き合う時間を増やしたりすることが大切です。

指しゃぶりの原因を理解することで、「やめなさい」と叱るのではなく、「なぜ今、指しゃぶりをしたくなったのかな?」とお子さんの気持ちに寄り添うことができます。これが、無理なく指しゃぶりを卒業するための第一歩となります。

家庭でできる指しゃぶりをやめさせる3つの方法

指しゃぶりは、無理にやめさせようとすると逆効果になることがあります。お子さん自身が納得し、自発的にやめることができるようサポートすることが大切です。ここでは、家庭でできる具体的な方法を3つご紹介します。

1. 手を使う遊びを増やす

指しゃぶりをする時間を減らす効果的な方法は、手を使う遊びを増やすことです。手が別のことで忙しくなれば、自然と指しゃぶりをする機会が減っていきます。

おすすめの遊びとしては、粘土遊び、お絵かき、折り紙、ブロック遊び、パズルなどがあります。また、親子で一緒に料理をしたり、お手伝いをしてもらったりすることも効果的です。手を使って何かを作り上げる達成感は、お子さんの自信にもつながります。

特に、指しゃぶりをしやすいテレビを見ている時間や、手持ち無沙汰になりやすい時間帯に、意識的に手を使う活動を取り入れると良いでしょう。

2. ポジティブな声かけで自信をつける

指しゃぶりをやめるには、お子さん自身の「やめよう」という気持ちが大切です。そのためには、ポジティブな声かけでお子さんに自信を持たせることが重要です。

「もう〇歳だから、そろそろ指しゃぶりは卒業しようね」と、お子さんの成長を認める言葉をかけてあげましょう。保育園や幼稚園に行っているようなら、進級するタイミングやお誕生日などを境に、「お兄さん・お姉さんになったから、指しゃぶりはやめようね」と話してみるのも良い方法です。

また、指しゃぶりをしていない時間が長くなったら、「今日は指しゃぶりしなかったね。すごいね!」と褒めてあげましょう。小さな成功体験を積み重ねることで、お子さん自身がやめられるという自信を持つことができます。

逆に、「指しゃぶりをやめなさい!」と叱ったり、無理やり指を引き抜いたりすることは避けましょう。叱られることがストレスになり、かえって指しゃぶりに固執してしまうことがあります。

3. 寝る前のスキンシップを増やす

指しゃぶりは、安心感を得るための行動であることが多いため、寝る前に十分なスキンシップをとることが効果的です。寝付くまで手を握ってあげたり、背中をさすってあげたり、絵本を読んであげたりすることで、指しゃぶり以外の方法で安心感を得られるようサポートします。

また、日中も意識的にお子さんと向き合う時間を増やし、「ちゃんと見ているよ」「大好きだよ」というメッセージを伝えることが大切です。親の愛情をしっかり感じられることで、指しゃぶりで安心感を得る必要がなくなっていきます。

これらの方法は、すぐに効果が出るものではありません。焦らず、お子さんのペースに合わせて、根気強く続けることが大切です。

それでもやめられない場合の選択肢「マイオブレース」

家庭でのサポートを続けていても、なかなか指しゃぶりをやめられないお子さんもいらっしゃいます。また、すでに歯並びへの影響が見られる場合もあるでしょう。そのような時には、歯科医院での専門的なサポートを検討することをおすすめします。

北村総合歯科では、お子さんの予防矯正として「マイオブレース」を導入しています。

マイオブレースとは

マイオブレースは、指しゃぶりや口呼吸、舌の位置の悪さといった「口腔習癖(こうくうしゅうへき)」を改善することを目的とした装置です。口腔習癖とは、お口やその周りの習慣的な癖のことで、歯並びやあごの発達に大きな影響を与えます。

近年の研究では、歯並びが悪くなる原因の一つが、口呼吸・舌の突出・間違った飲み込み方・指しゃぶりなどの口腔習癖であることが分かっています。これらの癖は、お子さんのあごの発達を抑制し、歯が正しく並ぶスペースを狭めてしまうのです。

マイオブレースは、単に歯を動かす治療ではなく、口腔習癖を改善し、正しい鼻呼吸・舌の位置・飲み込み方を身につけることで、あごの正常な発達を促す治療法です。

マイオブレースが指しゃぶりに効果的な理由

マイオブレースが指しゃぶりの改善に効果的な理由の一つは、装置を装着している時には物理的に指しゃぶりができないという点です。日中1〜2時間と就寝時に装置を装着することで、指しゃぶりをする時間を自然に減らすことができます。

また、マイオブレースによる口腔機能のトレーニングを通じて、正しい舌の位置や鼻呼吸を身につけることで、お口周りの筋肉のバランスが整い、指しゃぶりをしたいという欲求自体が減っていくことも期待できます。

マイオブレース治療の対象年齢

マイオブレースは、3歳から治療を開始することが可能です。お子さんのあごが成長する時期に合わせて治療を行うことで、より効果的に口腔習癖を改善し、歯並びの正常な発達を促すことができます。

ただし、マイオブレース治療は、お子さん本人の協力が必要な治療です。装置を決められた時間装着すること、口腔機能のトレーニング(アクティビティ)を毎日行うことが求められます。そのため、お子さん自身がある程度理解し、取り組む意欲があることが大切です。

北村総合歯科のマイオブレース治療

北村総合歯科では、お子さん一人一人の状態に合わせた丁寧な診断と治療計画を立て、保護者の方にも十分にご理解とご納得をいただいた上で治療を開始しています。

指しゃぶりなどの口腔習癖を改善することは、単に歯並びを整えるだけでなく、正しい呼吸・飲み込み・発音といった口腔機能全体を改善し、お子さんの健やかな成長をサポートすることにつながります。

お子さんの指しゃぶりや歯並びについてお悩みの方は、ぜひ一度北村総合歯科にご相談ください。お子さんの健やかな成長をサポートいたします。

北村英二 院長について

「歯医者は怖い!」―子どもの頃、私もそう思っていました。説明もなく痛い治療はトラウマでした。だからこそ、北村総合歯科では、患者様の不安に寄り添い、丁寧な説明と痛みの少ない治療を大切にしています

日本大学松戸歯学部卒業後、様々な歯科医院での経験を経て2021年に開業。インプラント治療はもちろん、虫歯や歯周病、予防歯科まで幅広く対応し、地域の皆様の歯の健康をサポート。「ここに来てよかった!」と思っていただけるよう、笑顔でお待ちしています。お気軽にご相談ください。