「本物の歯のように仕上がると聞いてインプラントにしたのに、最近になって根元の金属が見えてきた気がする…」
ふと鏡を見たときに、そんな変化に気づいてショックを受ける方は少なくありません。「もしかしてインプラントがダメになったのか?」「失敗だったのか?」と不安になることでしょう。
インプラントは構造上、歯茎がわずかに下がるだけで、土台となる金属部分(アバットメントなど)が露出してしまうことがあります。 しかし、この変化は必ずしも「トラブル」とは限りません。中には加齢などの自然現象で起こる場合もあり、医学的には問題がないケースも多いのです。
ここでは、生活の中で歯茎が下がってしまう「主な原因」と、すぐに病院へ行くべきかどうかの「見極め方」について整理します。
Contents
なぜ歯茎は下がってしまうのか?
インプラントを入れてから時間が経ち、徐々に金属が見えてきた場合、そこには「生活習慣」や「経年変化」が関係しています。
強すぎるブラッシング(オーバーブラッシング)
「インプラントを長持ちさせたい」「汚れを溜めたくない」という意識が強い方ほど陥りやすい原因です。硬めの歯ブラシを使っていたり、力を入れて磨きすぎたりすると、歯茎が摩擦で傷つき、少しずつ下がって(退縮して)しまいます。
加齢による自然な変化
天然の歯であっても、年齢とともに歯茎や骨は少しずつ痩せていきます。インプラントも例外ではなく、長い期間使っていれば、口の中の環境変化に合わせて歯茎のラインが下がってくることは珍しくありません。
これらは「病気」ではありませんが、見た目の変化として現れます。
「様子を見ていい」のか「危険」なのか?
金属が見えていると「すぐに治さなきゃ」と焦るかもしれませんが、まずは落ち着いて歯茎の状態をチェックしてください。判断のポイントは「炎症があるかどうか」です。
【様子を見ていいケース】歯茎がピンク色で引き締まっている
歯茎に痛みや腫れがなく、きれいなピンク色をしているなら、緊急性は低いと言えます。 インプラント自体は骨としっかり結合しており、機能的には問題ありません。「見た目」の問題は残りますが、無理に触るよりも現状維持(経過観察)が推奨されることが多い状態です。
【危険なケース】赤み・腫れ・出血がある
金属が見えているだけでなく、「歯茎が赤くブヨブヨしている」「歯磨きで血が出る」「膿のような味がする」といった症状がある場合は要注意です。 これは「インプラント周囲炎」という病気が進行している可能性があります。放置するとインプラントを支える骨が溶け、最悪の場合は抜け落ちてしまいます。このサインがあったら、すぐに歯科医院を受診してください。
「見た目を元に戻す治療」は慎重に
「病気ではないとしても、金属が見えるのは嫌だから隠したい」 そのお気持ちはよくわかります。しかし、インプラント治療において最優先すべきは「長期的に噛める状態を維持すること」です。
一度骨と結合して安定しているインプラントに対し、見た目を改善するためだけに外科的な処置(歯茎の移植など)や被せ物の作り直しを行うことは、かえってインプラント周囲の組織に負担をかけ、寿命を縮めるリスクも伴います。 そのため、機能に問題がない限りは「今の状態をキープする」ことが、結果としてインプラントを長く使うための最善策となることも多いのです。
もしあなたが、「歯のクリーニング」や「歯周病ケア」を受けた直後に歯茎が下がったと感じたなら、それは「歯茎が健康になった証拠」かもしれません。
歯茎は炎症が起きていると腫れて膨らみます。適切なケアで炎症が治まると、腫れが引いて歯茎がキュッと引き締まります。その結果、隠れていた根元が見えるようになることがありますが、これは悪化ではなく「回復」ですので、心配せずに担当の先生の指示に従ってください。
まとめ
インプラントの金属が見えてきたとしても、炎症がなければ過度に恐れる必要はありません。 「磨き方が強すぎないか?」を見直しながら、次回の定期検診で「最近、金属が見えてきた気がする」と相談してみましょう。
当院では、医学的な安全性を最優先に確認したうえで、患者さまの見た目に関するお悩みにも丁寧にお答えしています。
※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。
歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。
手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。
インプラント治療に関する費用
| 内容 | メーカー/処置 | 費用(税込) |
|---|---|---|
| 上部構造(人工歯) | ジルコニア/ハイトランス | ¥143,000 |
| ジルコニアステイニング | ¥154,000 | |
| ジルコニアレイヤリング | ¥176,000 | |
| インプラント体(人工歯根) | プラトン | ¥264,000 |
| ネオデント | ¥297,000 | |
| ストローマン | ¥330,000 | |
| 追加処置 | サージカルガイド | ¥66,000 |
| ソケットリフト骨造成(GBR) | ¥55,000/本 | |
| サイナスリフト | ¥110,000 |
インプラント治療に伴う主なリスク・副作用
インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。
- 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
- 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
- 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
- インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
- 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
- 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
- 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間
これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長
1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- インプラント講習会のインストラクター
- インプラントメーカー公認インストラクター(プラトンジャパン)
- 日本歯科放射線学会 優良医
- 日本歯科医師会 所属
- 多数の学会発表、インプラント専門誌、学術誌での発表実績あり