「最近、歯が浮いたような感じがする…」
「歯ぐきから膿のようなものが出ている気がする…」

そんな違和感を感じながらも、「そのうち治るかも」「歯医者に行くほどではないかも」と、様子を見るかどうか迷っていませんか?

実はその症状、「根の病気(根尖病巣)」のサインかもしれません。
進行すると強い痛みが出たり、歯を失ってしまうリスクもあるため、早めの判断がとても重要です。

ここでは、症状の原因や治療法、歯を残せる可能性や抜歯の判断について、わかりやすく解説します。
「歯医者に行くべきか迷っている」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

その症状、「根尖病巣」かもしれません

歯が浮いたような違和感や、歯ぐきから膿が出るといった症状がある場合、根の先に炎症が起きている「根尖病巣(こんせんびょうそう)」の可能性があります。

根尖病巣とは、歯の内部にある神経(歯髄)が細菌感染によって壊死し、そのまま放置されることで、根の先端に膿が溜まった状態です。これは虫歯が進行した場合や、過去に治療した歯でも起こり得るもので、自覚症状が少ないまま進行してしまうことも少なくありません。

実は、虫歯の治療時に神経を抜いた記憶がなくても、根尖病巣ができている歯では、神経がすでに壊死しているケースが多くあります。

神経が死んでしまうと、冷たいものがしみるなどの刺激を感じなくなり、「もう痛くないから大丈夫」と勘違いしてしまうことも。
しかし、根の中では静かに炎症が進行し、ある日突然「腫れ」「膿」「浮いた感じ」などの症状として現れるのです。

「昔治療した歯なのに、最近になって違和感が出てきた」「鏡を見ると歯ぐきがプクッと腫れている」
そんな症状は、まさに根尖病巣のサインかもしれません。

この状態を放置すると、周囲の骨にまで炎症が広がる可能性もあるため、早めの診断と適切な処置が大切です。

根尖病巣と診断された場合の治療法

根尖病巣と診断されたからといって、すぐに抜歯が必要になるわけではありません。多くの場合、歯を残すための治療が可能です。以下のような方法が検討されます。

根管治療(こんかんちりょう)

根管治療は、最も一般的な歯科治療法の一つです。

感染した歯の神経や膿を取り除き、根管内を徹底的に清掃・消毒した後、薬剤を詰めて密閉することで、歯の保存を目指します。神経が壊死しているような状態でも、根管治療を行うことで歯を残せる可能性が高まります。

治療回数は歯の状態によりますが、通常は数回の通院で完了することが多いです。

歯根端切除術(しこんたんせつじゅつ)

歯根端切除術は、根管治療だけでは治癒が難しいと判断された場合に行われる外科的な処置です。

具体的には、歯茎側からアプローチし、炎症部分(膿の袋)と歯の根の先端(歯根端)を取り除きます。

この治療法は、根尖病巣が再発した場合や、根の形が複雑で通常の根管治療では対応できない場合に選択されることがあります。

比較的小規模な手術ですが、ご自身の歯を残せる可能性を高めることができます。

これらの治療は、可能な限り歯を抜かずに保存するという観点から選択されます。患者様の症状や歯の状態をしっかりと見極めた上で、最適な治療方針が立てられます。

抜歯になることもある?歯を残せるかどうかの判断基準

根尖病巣がある場合、基本的には歯を残す方向で治療が行われますが、すべてのケースで歯の保存が可能とは限りません。以下のような状況では、抜歯が検討されることもあります。

歯の根がひどく破折している場合

歯の根っこが縦に割れてしまっている場合、根管治療や歯根端切除術では対応が難しく、歯の保存が困難となります。特に目に見えない歯ぐきの下の部分で割れていると、気づかずに悪化してしまうケースもあります。

繰り返し根尖病巣が再発している場合

何度治療しても膿が溜まる、痛みが続くといった場合は、歯そのものの予後が良くない可能性があります。無理に残しても他の歯や歯ぐきに悪影響を及ぼすことがあるため、抜歯を選択することがあります。

周囲の骨が大きく吸収されている場合

炎症が長期間続くと、歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けてしまうことがあります。支えを失った歯はグラつきやすく、保存が難しくなります。

こうした判断は、歯の状態を正確に把握する検査と、歯科医師の専門的な見解によって下されます。「抜歯」と聞くと不安になるかもしれませんが、今の痛みや炎症を取り除き、他の歯を守るための前向きな選択の1つです。

「まだ大丈夫」と思わずに、早めのご相談を

「歯が浮いた感じがする」「歯ぐきから膿が出ている」

こうした症状がありながらも、「そのうち治るかも」「そこまで痛くないから様子を見よう」と迷っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、根の先にできる病巣(根尖病巣)は、自覚症状が軽くても、歯の根の先で確実に進行しているケースが少なくありません。そのまま放置してしまうと、やがて抜歯を選ばざるを得ない状況に発展する可能性もあります。

根の治療は、早期の対応がその歯の将来を大きく左右します。

違和感がある場合は放置せず、まずは歯科医院で状態を確認しましょう。

当院では、患者さまの状態に合わせて適切な治療方法をご提案し、不安や疑問にも丁寧にお応えしています。「どんな治療が必要なのか」「歯を残せる可能性はあるのか」など、ご自身の状況をしっかりと理解した上で治療を進めていただけるよう心がけています。

気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

北村英二 院長について

「歯医者は怖い!」―子どもの頃、私もそう思っていました。説明もなく痛い治療はトラウマでした。だからこそ、北村総合歯科では、患者様の不安に寄り添い、丁寧な説明と痛みの少ない治療を大切にしています

日本大学松戸歯学部卒業後、様々な歯科医院での経験を経て2021年に開業。インプラント治療はもちろん、虫歯や歯周病、予防歯科まで幅広く対応し、地域の皆様の歯の健康をサポート。「ここに来てよかった!」と思っていただけるよう、笑顔でお待ちしています。お気軽にご相談ください。