「歯がしみる=知覚過敏」と思い込んでいませんか?

「冷たい水を飲んだときに歯がキーンとしみる」
「歯みがきをするとピリッと痛む」

こうした症状があると、多くの方は「知覚過敏かも?」と思われるのではないでしょうか。
もちろん、知覚過敏も歯がしみる原因のひとつですが、実は「くいしばり」が関係しているケースも少なくありません。

くいしばりによって歯の根元に力が集中すると、歯の表面が削れたり、神経に刺激が伝わりやすくなったりすることで「しみる」症状が現れるのです。
意外かもしれませんが、ご本人に自覚がなくても日常的にくいしばっている方はとても多いのです。

なぜ「くいしばり」で歯がしみるの?

くいしばりや歯ぎしりは、歯に強い力を繰り返しかける行為です。これによって特にダメージを受けやすいのが、歯の根元。歯は、頭の部分(歯冠)と根の部分(歯根)で構造が異なっており、境目は力に弱く、削れやすい性質があります。

くいしばりが続くとこの部分がくさび状に削れ(くさび状欠損/WSD)、神経に近くなり、冷たいものや歯ブラシの刺激が伝わりやすくなります。

このように、見た目では虫歯もなさそうなのに「なんとなくしみる」「痛い」と感じる場合、くいしばりによるダメージが原因のことがあるのです。

あなたは大丈夫?くいしばりセルフチェック5項目

くいしばりは、多くの人が自覚のないまま日常的に行っていると言われています。

特に就寝中や集中しているときなど、無意識に歯を噛みしめているケースが多く、症状が出るまで気づかないことも少なくありません。

以下の項目にひとつでも当てはまれば、くいしばりの可能性があります。

くいしばりセルフチェック

  • 朝起きたときに、あごやこめかみに疲れを感じることがある
  • 舌の側面にギザギザとした圧痕がある(歯型がついている)
  • 歯の根元がV字に削れているように見える
  • 日中、ふとしたときに上下の歯が接触していることがある
  • 詰め物や被せ物がよく外れる/歯が欠けたことがある

✅ 朝起きたときに、あごやこめかみに疲れを感じることがある/舌の側面にギザギザとした圧痕がある(歯型がついている)

これは就寝中のくいしばりや歯ぎしりが疑われるサインです。特に舌の圧痕は、力を入れて噛んでいる時間が長いことを示します。

✅ 歯の根元がV字に削れているように見える

歯の根元が削れている場合、くさび状欠損(WSD)が進行している可能性があります。これはくいしばりによって力が一点に集中した結果です。

✅ 日中、ふとしたときに上下の歯が接触していることがある

これはTCH(Tooth Contacting Habit)と呼ばれるクセで、日中も無意識に歯を接触させている方は要注意です。

本来、上下の歯はリラックスしているときは接触しておらず、わずかに離れている状態が正常です。常に歯が接触していると、歯や顎に持続的な負担がかかり、さまざまな不調につながります。

✅ 詰め物や被せ物がよく外れる/歯が欠けたことがある

繰り返し歯に強い力がかかっているサインで、歯そのものや補綴物(詰め物・被せ物)へのダメージが蓄積している証拠です。

当てはまる項目が多いほど、早めの対策が重要です。次のセクションでは、放置するとどんなリスクがあるのかを解説します。

くいしばりを放置するとどうなる?歯へのダメージ

くいしばりを放置すると、歯や顎にさまざまなダメージが蓄積されていきます。特に気をつけたいのは、歯が割れる・欠けるといった構造的な破折です。

中でも注意が必要なのは、すでに神経を取っている歯です。

神経を取った歯は、見た目は健康でも内部がもろく、強い力に耐えられない状態になっています。

そこに食いしばりや歯ぎしりの力が加わることで、ある日突然「歯が割れた」「根が折れた」といったトラブルが起きることがあります。

特に50代〜60代以降になると、くいしばりによって歯が破折し、抜歯に至るケースも珍しくありません。

また、くさび状欠損が進行すると、歯の神経が刺激されて痛みやしみの症状が強くなり、治療が必要になることもあります。

対策は?ナイトガード+生活習慣の見直しで根本からケアを

くいしばり対策として、まずおすすめしたいのがナイトガード(マウスピース)の使用です。

特に就寝中の無意識のくいしばりや歯ぎしりは自分でコントロールできないため、歯や顎を守る物理的な手段として有効です。

歯科医院で患者さん一人ひとりの歯型に合わせて作製できるため、違和感も少なく安心して使用できます。

しかし、本当の意味でくいしばりを改善するには、日中の生活習慣の見直しも欠かせません。

生活習慣の見直しポイント

生活習慣の見直しポイント

  • 上下の歯を接触させる癖(TCH)に気づく
    意識的に「上下の歯は離れているのが正常」と心がけることが大切です。
  • 集中時・ストレス時に歯に力が入っていないかをチェック
    デスクワークや運転中など、「気づくと噛んでいる」人が多いです。
  • 姿勢や噛み合わせの確認
    噛み合わせの乱れや、猫背による顎の負担も影響する場合があります

ナイトガードと日常の意識改善を併用することで、くいしばりの影響を最小限に抑え、歯を守ることができます。

歯がしみる原因が分からないときは、お気軽にご相談ください

「知覚過敏だと思っていたけれど、なかなか良くならない」
「虫歯はないと言われたのに、しみる・痛む」

そんなお悩みがある方は、くいしばりが関係している可能性があります。

北村総合歯科では、症状の原因を丁寧に見極め、ナイトガードの作製や生活習慣のアドバイスなど、一人ひとりに合わせた対応を行っています。

くいしばりは放っておくと、歯の破折や抜歯など、将来の大きなリスクにつながることもあります。

「まだ大丈夫かな」と思っているうちに進行することも多いため、気になる症状がある方は早めのご相談をおすすめします。

北村英二 院長について

「歯医者は怖い!」―子どもの頃、私もそう思っていました。説明もなく痛い治療はトラウマでした。だからこそ、北村総合歯科では、患者様の不安に寄り添い、丁寧な説明と痛みの少ない治療を大切にしています

日本大学松戸歯学部卒業後、様々な歯科医院での経験を経て2021年に開業。インプラント治療はもちろん、虫歯や歯周病、予防歯科まで幅広く対応し、地域の皆様の歯の健康をサポート。「ここに来てよかった!」と思っていただけるよう、笑顔でお待ちしています。お気軽にご相談ください。