歯磨きをしているときに歯茎から出血したり、指で触れたときに腫れているような違和感や痛みを感じたことはありませんか?「ちょっとしたことだから」と見過ごしてしまいがちですが、歯茎の腫れには様々な原因が隠れていることがあります。
腫れが軽度であればセルフケアで改善する場合もありますが、進行すると痛みや口腔内のトラブルだけでなく、全身の健康にも影響を与えることがあります。そのため、特に原因がわからないまま放置するのは危険です。
ここでは、歯茎の腫れに気づいた方が知っておきたい原因や、歯医者に行くべきタイミングについて「重要度」の指標を使いながらわかりやすく解説していきます。気になる症状がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
重要度1 ★☆☆☆☆|セルフケアで改善が期待できる原因
この段階では、自宅でのセルフケアの見直しで改善が期待できます。
歯茎の外傷や刺激による腫れ
原因 | 硬い歯ブラシの使用、強い力での歯磨き、硬い食べ物、義歯やマウスピースの刺激など。 |
症状 | 歯茎が一時的に腫れる、触ると痛い。 |
歯茎に傷ができてしまったり、刺激で腫れてしまった時は、いつも以上に優しいケアを心がけましょう。まずは、柔らかめの歯ブラシに変えてみてください。そして、歯ブラシをペンを持つように軽く持ち、毛先が少し曲がるくらいの力加減で、傷口を刺激しないよう丁寧に磨きましょう。
食事も、固い物や熱すぎたり冷たすぎる物、香辛料の強い物は避け、刺激の少ない物を選んでくださいね。通常は数日で治りますが、腫れや痛みが続く場合は、他の原因も考えられますので、歯科医院で相談してみてください。
ホルモンバランスの変化による腫れ
原因 | 妊娠、思春期などによるホルモンバランスの変化。 |
症状 | 歯茎の腫れ、出血しやすい(妊娠性歯肉炎など)。 |
ホルモンバランスの変化で歯茎が腫れやすい時は、いつも以上に丁寧なケアを心がけましょう。柔らかめの歯ブラシで、歯と歯茎の境目を優しく丁寧に磨いてください。また、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れもしっかり取り除きましょう。
妊娠中の方は、お腹の赤ちゃんのためにも、お口の健康がとても大切です。体調が安定していれば、歯科医院でのクリーニングも受けられますので、我慢せずに、かかりつけの歯科医院に相談してみてくださいね。
妊娠中のお口の健康の重要性についてはこちらで詳しく解説しています↓
喫煙や生活習慣の影響
原因 | 喫煙、栄養バランスの偏り、ストレス、睡眠不足など。 |
症状 | 歯茎の血流悪化、腫れ、炎症。 |
喫煙や生活習慣の乱れから歯茎が腫れている場合は、できる範囲で生活を見直してみませんか。喫煙されている方は、本数を減らす、または禁煙に挑戦してみるのも良いでしょう。難しい場合は、いつもより丁寧に歯を磨いたり、歯磨きの回数を増やしてみてください。
また、ビタミンCやカルシウムを積極的に摂るのもおすすめです。柑橘類や緑黄色野菜、乳製品などを意識して食事に取り入れてみましょう。ストレスを溜め込まず、十分な睡眠時間を確保することも大切です。できることから少しずつ、健康的な生活を心がけましょう。
重要度3 ★★★☆☆|放置すると悪化のリスクがある原因
この段階では、セルフケアだけでは不十分な場合があり、放置すると症状が悪化する可能性があります。
軽度の歯周病(歯肉炎)
原因 | 歯と歯茎の間に溜まったプラークや歯石による炎症。 |
症状 | 歯茎の赤み、腫れ、歯磨き時の出血。 |
軽度の歯周病、歯肉炎からくる歯茎の腫れには、毎日の丁寧なケアが効果的です。まずは、いつも以上に歯磨きを意識してみてください。特に歯と歯茎の境目は、ソフトな歯ブラシで優しく丁寧に磨きましょう。また、歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れもしっかり取り除いてくださいね。
こうしたケアを続けても、もし数日経っても腫れが引かない場合は、歯科医院で専門的なクリーニングを受けましょう。早めのケアで、健康な歯茎を取り戻しましょう。
矯正器具や詰め物によるトラブル
原因 | 矯正器具や詰め物が歯茎に合わず、炎症や腫れを引き起こす。 |
症状 | 器具や詰め物周辺の歯茎の腫れ、痛み。 |
矯正器具や詰め物が原因で歯茎が腫れてしまったら、まずは歯科医院に相談し、調整してもらいましょう。それが一番の解決策です。調整までの間は、歯磨きの後に、ぬるま湯で優しく口をすすぐのも良いでしょう。しみる感じが和らぐかもしれません。
あまり刺激を与えず、様子を見ながら、できるだけ早く歯科医院で診てもらってください。そして、快適な状態に戻るまで一緒に頑張りましょう。
口内炎や軽度のアレルギー反応
原因 | 口内炎、歯磨き粉やマウスウォッシュ、特定の食品によるアレルギー反応。 |
症状 | 歯茎の腫れ、痛み。 |
口内炎やアレルギー反応で歯茎が腫れてしまったら、まずは口内炎用の市販薬を試してみたり、塩水でうがいをするのも一つの方法です。また、もし特定の歯磨き粉やマウスウォッシュなどに心当たりがある場合は、使用を一時的に中止して、様子を見てみましょう。
それでも腫れが改善しない、または悪化するようなら、我慢せずに歯科医院に相談してみてください。原因を特定し、適切な処置を受けることが、早く治すための近道です。一緒に頑張って健康な歯茎を取り戻しましょう。
重要度4 ★★★★☆|早めに歯科医院での診断が必要な原因
この段階では、早期に歯科医院での診察が必要です。
親知らずの周囲炎(智歯周囲炎)
原因 | 親知らず周囲の汚れの蓄積による炎症。 |
症状 | 親知らず周辺の歯茎の腫れ、痛み、膿が出る、噛み合わせのトラブル。 |
親知らずの周りが腫れてきたら、早めに歯科医院を受診しましょう。親知らずの周囲炎は、放っておくと悪化してしまうことがあります。歯科医院では、炎症の程度に合わせて、適切な治療や抜歯などの処置ができます。
受診までの間は、冷たいタオルを頬に当てて冷やしたり、硬いものや辛いものなどの刺激の少ない食事を心がけてください。少しでも楽に過ごせるように、工夫してみてください。
中程度以上の歯周病(歯周炎)
原因 | 歯周病の進行により、歯を支える骨が溶ける。 |
症状 | 歯茎の腫れ、出血、口臭、歯のぐらつき、膿が出る。 |
歯茎の腫れに加えて、出血や口臭などが気になる場合は、歯周病が進行している可能性があります。できるだけ早く歯科医院を受診し、適切な処置を受けましょう。
歯石の除去や、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の間の溝の清掃、必要であれば、抗生物質を処方します。大切なのは、治療後も定期的に歯科医院でチェックを受けることです。それが、歯周病の進行を防ぐ、一番の方法です。
全身疾患が関連している場合
原因 | 糖尿病や免疫力の低下など。 |
症状 | 歯茎の腫れが悪化しやすい、炎症が長引く。 |
歯茎の腫れが、糖尿病などの全身疾患と関連している場合もあります。その場合は、歯科医院での診察と並行して、全身疾患の担当医にも相談してください。お口と全身の健康状態を両方の視点から確認することが大切です。
必要に応じて、歯科医と内科医が連携して治療にあたることもあります。持病がある方は、遠慮なく、かかりつけの先生に相談してみてください。一緒に、最適な治療法を見つけて、健康なお口を目指しましょう。
重要度5 ★★★★★|緊急で歯科受診が必要な原因
この段階では、セルフケアでは改善が難しく、専門的な治療が必要です。放置すると全身への影響を及ぼす可能性もあるため、早急に歯科医院を受診してください。
歯根の感染(根尖性歯周炎)
原因 | 虫歯の進行による歯の神経の細菌感染、歯の根の先に膿がたまる。 |
症状 | 強い痛み、腫れ、顔全体の腫れ。 |
歯の根元やその周辺にズキズキとした強い痛みや腫れがある場合は、歯の根の内部で感染が起きているかもしれません。これは根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)と呼ばれ、緊急の処置が必要です。できるだけ早く歯科医院を受診し、根管治療と呼ばれる、歯の内部を清掃して細菌を取り除く治療を受けましょう。
腫瘍や深刻な病気の可能性
原因 | まれに腫瘍や他の深刻な病気の可能性があります。 |
症状 | 持続的な歯茎の腫れ、痛みや出血がない、腫れの部位が硬い、色が変わっている。 |
歯茎の腫れが長引いたり、しこりのようなものがある場合は、まれに腫瘍などの深刻な病気が隠れている可能性があります。心配な症状がある時は、ためらわずに、すぐに歯科医院を受診してください。
より専門的な機関で詳しい検査を受けることも必要です。早期発見、早期治療が、何よりも大切です。まずは歯科医に相談し、適切な指示を仰ぎましょう。
歯医者に行くべきか迷ったときの判断基準
歯茎が腫れているとき、「様子を見ても良いのか」「すぐに歯医者に行くべきなのか」と迷うこともあるでしょう。以下のポイントを参考に、受診のタイミングを判断してください。
- 腫れが数日経っても引かない場合
セルフケアをしても3日以上症状が続く場合は、歯科医を受診しましょう。 - 痛みや熱を伴う場合
強い痛みや発熱がある場合は、体内で炎症が進行しているサインです。すぐに歯科医院で診察を受けてください。 - 出血や膿が出ている場合
頻繁な出血や膿が出ている場合は、進行した歯周病や感染症が疑われます。早急な処置が必要です。 - 全身の不調がある場合
倦怠感やリンパの腫れなど全身の不調がある場合は、感染が広がっている可能性があります。すぐに歯科医に相談してください。
歯茎の健康を守るために
歯茎の腫れは、軽度なものから重篤な病気の兆候まで、様々な原因が考えられます。自己判断で放置せず、症状の程度や持続期間に応じて、適切な対処法を選択することが重要です。
特に、痛みや腫れが強い場合、出血や膿を伴う場合、全身の不調がある場合は、早急に歯科医院を受診しましょう。
北村総合歯科では、患者様一人ひとりに寄り添った丁寧なカウンセリングと、精密な診査・診断に基づいた治療計画をご提案しておりますので、歯茎の腫れ・痛みが気になる方はお気軽にご相談ください。
北村英二 院長について
「歯医者は怖い!」―子どもの頃、私もそう思っていました。説明もなく痛い治療はトラウマでした。だからこそ、北村総合歯科では、患者様の不安に寄り添い、丁寧な説明と痛みの少ない治療を大切にしています。
日本大学松戸歯学部卒業後、様々な歯科医院での経験を経て2021年に開業。インプラント治療はもちろん、虫歯や歯周病、予防歯科まで幅広く対応し、地域の皆様の歯の健康をサポート。「ここに来てよかった!」と思っていただけるよう、笑顔でお待ちしています。お気軽にご相談ください。